賛同要請:自由権規約委員会の「慰安婦」問題に関する勧告の早急な実現を求めます

「慰安婦」問題に関する自由権規約委員会の勧告に対する政府の「答弁書」に抗議して、「オール連帯」(「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク)が抗議・要請文を作成し、団体賛同を募っています。

ご賛同いただける団体は下記までご連絡下さい。(個人賛同は募集しておりませんのでご了承下さい)

賛同の締め切りは:3月6日(金)です。

●賛同の連絡先=ピースボート事務局 (担当 野平) 
住所:東京新宿区高田馬場3-14-3-2F
TEL:03-3363-7561 
FAX:03-3363-7562
E-mail:nohira@peaceboat.gr.jp

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内閣総理大臣   
麻 生 太 郎 殿              

自由権規約委員会の勧告を無視する態度に抗議し、「慰安婦」問題に関する勧告を真摯に受け止め、その早急な実現を求める要請書

   
1、谷岡郁子議員の質問主意書に対する日本政府の答弁本年1月5日、参議院の谷岡郁子議員は、昨年末に続き、「歴史教科書と国連人権委員会による従軍慰安婦についての勧告に関する質問主意書」を提出し、「慰安婦」問題に関する今後の歴史教育や教科書検定のあり方に関して、自由権規約委員会の対日審査報告書の22項に示された勧告に対応する具体的な政府の対応を質問した。
 
これに対し、麻生総理は、13日、その答弁書において「御指摘の勧告は、法的拘束力を持つものではなく、市民的及び政治的権利に関する国際規約の締約国に対し、当該勧告に従うことを義務付けているものではないと理解している。」と答えている。
 
2、国際条約や勧告に対する日本政府の不誠実な対応
私たちは、この、勧告を門前払いで無視した、あからさまな人権規約軽視の態度に怒りと恥ずかしさを禁じ得ない。条約機関と締約国との間の「建設的対話」によって国際的に人権の向上を目指す定期報告制度の意義を根本から否定しているとさえ言えよう。こうした日本政府の態度の結果、これまでも多くの国際機関の勧告や各国議会の決議を無視し続け、今回の自由権規約委員会からも、「(1998年の)日本政府報告書の審査後に出された勧告の多くが履行されていない」(総括所見)と懸念・批判を受けている。

先に、日本政府は、国連の人権理事国に立候補した際の「自発的誓約」で「主要人権条約を締結し誠実に履行。(社会権規約、自由権規約、(略)、女性差別撤廃条約、(略)、拷問等禁止条約、(略)等)」とし、日本の人権政策は「人権及び基本的自由を擁護・促進する政策を推進」することであると謳いあげた。さらに、当選後の麻生外務大臣(当時)の談話では「わが国は人権の擁護および促進に向け、従来より・・・国際的な人権規範の発展・促進をはじめ世界の人権状況の改善に貢献してきており、今後も…建設的な役割を果たしていく」と述べている。

今回の答弁書は、それらの誓約や談話の信頼性を一挙に失墜させたものと言わなくてはならない。こうした姿勢では、日本が国際的に孤立化の道を歩むだけでなく、世界の人権問題に積極的に貢献していく可能性を自ら閉ざしてしまうことを深く憂慮する。
さらに、「締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する」という日本国憲法98条2項にも反する態度である。

 人権条約には強制力を伴う制裁措置が予定されていないものの、条約の締約国には条約義務を誠実に遵守することが「条約法に関するウィーン条約」等で求められている。この意味において、自由権規約委員会からの勧告を尊重し、これを真摯に受容することが日本に求められているといえる。そして、人権を守り育てる先頭に立つのが「誓約」を誠実に果たすことであり、人権先進国を標榜する日本
の取るべき態度である。

3、自由権規約委員会の勧告および国際社会の声
人権の専門家である18人の委員で構成される自由権規約委員会は、自由権規約の履行を監視するために、同規約に基づいて設置された唯一の国際機関である。
国際司法裁判所が、2003年の「パレスチナ占領地における壁建設の法的帰結」に関する勧告意見において自由権規約委員会の解釈を採用したように、同委員会による規約の解釈は最も権威あるものとされている。
この権威ある委員会が「慰安婦」問題に関して、今回、自由権規約第7条・8条の実現を妨げるものとして以下のように核心的な勧告をしていることを、政府は重く受け止めなければならない。しかも、1979年の批准以前には遡らないという日本政府の主張にも拘らず、被害者が今なお救済されず、事実歪曲の暴言によって尊厳が犯され続けている現在の人権の問題として勧告しているのである。

22-締約国は、その法的責任を受け入れ、被害者の大多数に受け入れられるようなやり方で「慰安婦」制度について留保なく謝罪し、被害者の尊厳を回復し、生存中の加害者を訴追し、全ての生存被害者に対し権利の問題として充分な賠償を行なうための速やかで実効的な立法的・行政的措置を取り、この問題について学生及び一般大衆を教育し、被害者の尊厳を損なったり、この事実を否定したりするいかなる企てに対しても反駁し制裁を加えるべきである。

「慰安婦」問題解決に向けての勧告は、1990年代半ばから、国連人権委員会・同小委員会特別報告者、ILO条約勧告適用専門家委員会、社会権規約委員会、女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会、国連人権理事会(UPR)、各国議会「慰安婦」決議と、枚挙に暇がなく、さらに国際法律家委員会、アムネスティ・インターナショナルといった有力な国際人権NGOの勧告も含め、いまやその解決は世界的な要求となっている。それは同時に現在も頻発している戦時性暴力の連鎖を絶つことにも貢献する。日本の対応は、今、全世界から注目されているのである。

4、「勧告」の実現は一刻の猶予も許されない。
私たちは、昨年11月、第9回「慰安婦」問題アジア連帯会議を日本で開催した。韓国・中国・東チモール・フィリピン・台湾・在日の11人の被害者が国会議員や内閣府等に、17年間、要求し続けている正義の実現を厳しく、また涙ながらに訴えた。被害者は80・90歳代になり、日本政府の心からの謝罪の言葉も国家補償もなく、長い苦悩の人生を孤独のうちに閉じつつある。日本が、この問題を誠実に解決して被害者に応え、国際的に尊敬される国となる時間は、もうあまり残されていない。

私たちは、麻生総理大臣に対し、以下のことを要求する。

1、日本政府は、自由権規約委員会の「勧告」を無視する態度を改め、条約を誠実に遵守する義務に従って、同「勧告」を真摯に受け止め、早急に「勧告」を実現すること。

2、日本政府は、その実現のため「慰安婦」問題の解決を求めるNGOとの間で、持続的な協議を行うこと。(これは、社会権規約委員会の勧告内容でもあり、前述の「自発的誓約」の「今後の決意」の一つ「NGOとの協力」を履行することである。)
 

2009年3月  日
「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク

(以下に 賛同団体を列挙したいと思います。)