連続講座の報告(第3回):「『軍隊のない国家』と『国家への犠牲を顕彰しない国』」

 6月5日(金)、東京ボランティア・市民活動センターにて、ヤスクニ・キャンドル行動連続講座の第3回「『軍隊のない国家』と『国家への犠牲を顕彰しない国』」を開催しました。

 講師は東京造形大学教授の前田朗さん。

 世界に27か国ある「軍隊のない国家」を訪れ、各国の状況をつぶさに検証し『軍隊のない国家 27の国々と人びと』(日本評論社)にまとめられた前田さんの講演の前半では、「軍隊のない国」各国の音楽と写真映像を流しながら、それぞれの国々の特徴、政治状況、歴史などについて解説されました。
 
 後半では、ではそれらの国々が「戦争犠牲者の顕彰」をどのように行っているかが紹介され、またそれらをどのように考えるかという問題提起がされました。
 
 ガダルカナル他、日本人が作った慰霊碑はアジア各地にあるが、それらのほとんどは日本人の戦争犠牲者のための慰霊碑で、日本人が侵略した国の人びとのために建立した慰霊碑はまずない。そういう問題を考えることの重要性を前田さんは強調されました。
 
 「軍隊を持たない国」の多くは旧植民地国、または第一次・第二次世界大戦での被占領国、被害国で、当然にも慰霊碑・慰霊施設は、侵略に抵抗する英雄、独立・解放の英雄、建国の父、民間人戦争被害者のために作られている。それらと比べ、侵略戦争のため、天皇制のために作られ、被支配国の人民を戦争に駆り出してその死者を勝手に“英霊”として祀り上げる靖国神社の特殊性は、世界に類を見ないものであろう、と述べられました。
 
 約二時間の講演の後、参加者を交えての質疑応答が活発に行われました。