福田康夫総理大臣ほか二閣僚の伊勢神宮参拝に抗議します(080130)

福田康夫総理大臣ほか二閣僚の伊勢神宮参拝に抗議します

 わたしたち東京地方バプテスト教会連合に連なる教会・伝道所は、2007年12月25日に総理大臣やその他の閣僚が憲法違反の行為である伊勢神宮参拝を行わないように求めました。というのも、一宗教法人である伊勢神宮に政府閣僚が参拝することは、憲法第20条3項・第89条の定める政教分離原則に違反する行為だからです。したがって、これを行うことは国家公務員の憲法遵守義務を定めた憲法第99条違反でもあります。

 にもかかわらず、1月4日に福田総理大臣と増田総務大臣、若林農林水産大臣は、伊勢神宮の内宮に参拝をしました。立憲主義に立つ市民の良心的な警告を全く無視した、この違憲行為に強く抗議します。

 伊勢神宮は天皇家の祖先とされる天照大神、および五穀豊穣の神・豊受大御神を祭神とする、神社本庁の本宗です。戦前には国家神道の頂点として、国民に対する思想統制の役割と、靖国神社と共に侵略戦争を支える役割を担いました。現憲法の政教分離原則はこのような天皇を頂点とする政教一致に結果する侵略戦争に対する深い反省から盛り込まれたものです。つまり日本の政教分離原則は、基本的人権の尊重のみならず、平和主義・主権在民という憲法の三大原則と深く結びついているのです。

ところが、首相による伊勢神宮参拝は、1955年に鳩山一郎首相に始まり、1967年の佐藤栄作首相以降、多くの抗議の声を無視して慣例化しています。近隣諸国を脅かす歴史認識の浅さが根本原因にあります。立憲主義と憲法の三大原則をあえて軽視し続けることに、平和憲法改悪を推し進める危険な動向を看取し、わたしたちは首相の伊勢神宮参拝に対して深い憂慮と強い憤りの念を覚えています。

バプテストはキリスト教新教の一支流であり、伝統的に基本的人権の核である信教の自由と、それを支える政教分離原則の徹底を追及してきました。それが、キリストによる平和を地上に実現する努力であるということ、立憲民主主義社会における、わたしたちのなしうる社会的責任・貢献であると、信じているからです。

改めてここに、首相他二名の閣僚の違憲行為である伊勢神宮参拝に強く抗議をし、憲法に明記された政教分離原則を守ることを求めます。

総理大臣

福田康夫殿

2008年1月29日

東京地方バプテスト教会連合